家庭科室の甘い味

ピーッ


『お風呂が沸きました』


下から、お風呂が沸いた合図が鳴った。


長谷部先輩は私に顔を近づけたまま


「お風呂沸いたみたいだな」


ははっ、と笑う。


「茜ちゃん、先に入りなよ」


「いえ、先輩が先に……」


「じゃ、一緒に入る?」


長谷部先輩はイタズラっ子な目をして言う。


「えぇっ!?」


私が驚いて、わたわたしていると


「冗談だよ!」


と笑いながら、お風呂場まで案内してくれた。


ご両親のいない日に、お風呂までよばれるなんて、どうなんだろう……


なんて思いながらも私は、先にお風呂に入った。