家庭科室の甘い味

「あっ、マフラーだ。茜ちゃん、ありがとう!」


長谷部先輩は、私をぎゅっと抱きしめてくれた。


長谷部先輩は、いつもマフラーをしていない。


いつも


首元が寒そうだな?


って思っていたから、マフラーをあげる事にした。


私は長谷部先輩の腕の中で


「喜んでもらえてよかったです」


そう言った。


すると、長谷部先輩は私をぎゅっと抱きしめていた腕を緩め、勉強机の方へ。


そして、


「はい、これ」


ピンクのリボンで結ばれた箱を差し出す。


「えっ?私に?」


長谷部先輩は受験生。


だから、私は長谷部先輩からプレゼントを貰えるなんて思っていなかった。


その気持ちだけでも嬉しかった。