家庭科室の甘い味

「だから、あんな言い方になって……。余計、茜ちゃんを傷付けたよな。本当、ごめん」


長谷部先輩はすごく申し訳なさそうに言う。


私は長谷部先輩の腕の中で


「先輩は悪くないです。私が気を付けなかったから……。だから、私もごめんなさい」


今日1日、勇気がなくて言えなかった言葉が、今はすっと言えた。


「ねぇ、先輩……。もう、勉強の邪魔しないから、私の事、嫌わないで……」


私がそう言うと、長谷部先輩は私の肩を掴んで、ガバッと私の身体を離す。


そして、


「茜ちゃんの事、邪魔なんて思った事ないよ?それに、俺が茜ちゃんの事、嫌いになるなんて。そんな事はない」


長谷部先輩は優しく笑いながら、そう言ってくれる。


その言葉にホッとした私は、長谷部先輩にぎゅっと抱き着く。


長谷部先輩は私の背中に腕を回し、右手で頭を撫でてくれる。