家庭科室の甘い味

「あっ、ごめん」


私は砂糖を加え、また混ぜる。


そして、潰したバナナ、ホットケーキミックスを加え、また混ぜ、型に流し入れオーブンへ。


ケーキを焼いている間


「茜、何かあった?」


はるかは心配そうな顔をして私を見ていた。


「昨日、先輩の事、怒らせちゃった……」


はるかに昨日の事を話す。


「ねぇ、それってさ。ただ茜の事が心配なだけじゃないの?夜に外で茜の事を待たせていたら、変な人が茜に声を掛けるんじゃいかって、心配なんじゃない?」


「でも、先輩、怒ってたよ?私……、嫌われたらどうしよう」


昨日からその事が頭のなかでいっぱいになり、すごく不安だった。


「嫌うわけないって!大丈夫」


そう言いながら、はるかは私の背中にそっと手を添える。