家庭科室の甘い味

「先輩……、どうして?私が待ってるの迷惑だから?」


『来なくていい』と言われたショックで泣きそうになったけど、私は涙を必死に堪える。


「迷惑なんて思ってない。ただ、遅い時間に茜ちゃんを外で待たすのが嫌なだけだ」


そう言いながら、長谷部先輩はふっと私から目を逸らす。


「私……、大丈夫ですよ?」


声を掛けられたのだって、今日が初めて。


そりゃ、怖いって思ったけど。


今まで待っていても、声を掛けられたりする事はなかったんだから、きっと大丈夫。


少しでも長谷部先輩と一緒にいたいから。


だから、待たせて?


先輩……