ずっと黙って歩く長谷部先輩。


いつの間にか、私の家の前に着いていた。


いつもなら、帰り道で差し入れを渡しているのだけど。


ずっと黙って歩く長谷部先輩に、私は渡すタイミングが掴めないでいた。


「あの……、先輩……」


差し入れを渡そうと私が口を開いたのと同時に


「もう、差し入れ持って来なくていいから」


長谷部先輩はそう言い放つ。


そして、その言い方は冷たさを感じた。


「えっ?」


その言い方と言葉にショックを受け、固まったまま長谷部先輩を見つめていた私に


「もう、予備校の前で待ってなくていいから」


長谷部先輩は言い方を変えて、もう一度“来なくていい”って事を言う。