季節は変わり、街はもうクリスマス。


長谷部先輩は受験勉強をしなきゃいけないから、クリスマスを一緒に過ごすのは無理だろうと思っていた。


でも私は、長谷部先輩に内緒でケーキを作って、長谷部先輩の家に届けようと思っている。


それくらいはいいかな?


って……


部活中、はるかに何のケーキを作ろうか相談しながら、クリスマスの話をしていると


「今日は何?」


雨宮が私の頭の上から覗き込んだ。


「今日はフィナンシェだから、あげないよ?」


だって、これは長谷部先輩に持って行くんだから。


「ちぇっ」


「“雨宮に食べてもらいたい”って子はいっぱいいるんだから、その子達から貰いなよ」


長谷部先輩達、3年生が引退してから、雨宮はこうやって、私やはるかが作ったのを食べに来る。


でも、はるかに声を掛けると隣で拓ちゃんの機嫌が悪くなるから、ほとんど私に声を掛けるけど。