長谷部先輩達は、夏に部活を引退した。


だから、家庭科室に長谷部先輩が来る事もなくなる。


そして、長谷部先輩は部活を引退してから予備校に通っている。


長谷部先輩は受験生。


だから私は「どこかへ行きたい」と言う事もないし、どこかへ出掛けたりする事もない。


受験勉強の邪魔をしたくない私は


“それでもいい”


そう思っていた。


でも、そうは思っていても、やっぱり会いたい。


長谷部先輩と少しの時間でもいいから、一緒にいたい。


だけど、私は部活がある。


放課後、長谷部先輩と一緒には帰れない。


だから、私は予備校の授業が終わる頃を見計らって、差し入れを持って行く。


長谷部先輩に気を使わせてはいけないから、料理部の部活があった日だけ、部活で作った物を持って行くようにしていた。