「もう少しだけ、こうしていたい……」


いや、俺は全然いいんだけど……


「ねぇ、拓真……。さっきみたいに呼んで?」


「さっきみたいって?」


「さっき……、“はるか”って呼んでくれた。……もう“先輩”はヤダ」


そう言って、はるか先輩はぎゅっと俺に抱き着きついている腕の力を強める。


ずっと“先輩”じゃなく“はるか”って呼びたかった。


でも、なかなか呼べなかった。


さっきは、勢いで呼んじゃったけど


呼んでもいいの?


「はるか……」


そう呼びながら、俺は頭を撫でる。


「ふふっ、嬉しい」


そう言うと、はるかは顔をあげ、俺の唇にキスをした。