ガチャ ガチャ――…


「ただいまぁー」


その時、未来さんの声が聞こえた。


すると、拓真は私から離れる。


下には未来さんがいる。


わかっているのだけど……


でも、拓真が離れた事をすごく寂しく感じた私は、ぎゅっと拓真に抱き着いた。


普段、自分から抱き着いたりはしない。


だから、拓真はすごく驚いていた。


「はるか先輩?」


あっ、呼び方戻ってる……


その事もすごく寂しく感じた。


「もう少しだけ、こうしていたい……」


そりゃ、私は“先輩”だけど……


いつも私は“先輩”と呼ばれる度に少し距離を感じていた。


さっき拓真に“はるか”って呼んでもらえて、拓真に近付けたって思ったのに……


拓真に抱き着きながら、そんな風に思っていた。