家庭科室の甘い味

拓真は“可愛い弟”なのに時々こうやって“男”に変わる。


私はその度に、これ以上早くは動かないんじゃないかってくらいドキドキする。


私がこんなにドキドキしているって、拓真はわかってる?


拓真は私を抱きしめている腕を緩め、もう1つの袋を開けた。


「サッカーシューズを入れる袋とタオルなら、拓真、使えるかな?って思って……」


私は迷ったあげく、拓真がいつも使えるように、シューズの袋とタオルにした。


今使っているサッカーシューズの袋がボロボロになってきていたから。


「ありがとう、大切にするね!」


拓真はまた、ぎゅっと抱きしめてくれた。