家庭科室の甘い味

だけど、拓真は座らずに、キッチンの入口に立って私を見ている。


「……ねぇ、拓真。何、見ているの?」


そんなにじっと見られたら、恥ずかしいじゃん!


「ん?何って、キッチンにはるか先輩が立ってるって、なんかいいなって思って」


やっぱり可愛い笑顔で言う拓真。


「なっ、何言ってんのよ!?」


その言葉と拓真の笑顔にドキッとした私の顔はますます赤くなる。


そして、拓真は私を後ろから抱きしめる。


拓真に抱きしめられ、私の心臓は、拓真に聞こえるんじゃないかってくらいドキドキしている。


「……拓真、危ないんだけど」


でも、それがバレたくない私は平気なフリをする。


「もう少しだけ、このままでいさせて?」


だけど拓真は、私の耳元で囁くと、さらに力強く抱きしめた。