―…俺は夢を見てたようだ。
『輝』と呼ぶ聖歌はウエディングドレスを着て、にっこりと微笑んでいる。
『聖歌』と呼ぶと、『輝』と返って来る。
―…手を伸ばせば抱きしめることも出来そうだ。
「聖歌っ…」
…ん?
「なにー?大丈夫?岡本君?」
「あの、聖歌…って叫んだの聞こえてました…?」
「当たり前じゃない。」
「…」
「岡本君は、聖歌ちゃんの事が好きなの?初対面じゃないの?」
養護の『川崎』は転入早々に、俺の弱みを知ってしまったらしい。
「なんつーか…幼なじみなんすよ…。あいつは覚えてないかもだけど…」
「へぇ…」
「なんすか?」
「なんでもない。もう大丈夫なら戻りなさい?」
「はぁ…」
少しまだ傷は痛むけど、戻るかな。