あー、と奏汰は準備していた手を止め、紹介した。




「こっちが九条周(くじょう あまね)くん。でこっちが九条流(くじょう ながれ)くん」

2人とも同じクラスだよ、と奏汰は付け足す。


俺が小声で言った意味がない。


また俺はクラスメイトを覚えていない最悪な奴だと思われるじゃんか。


…まぁ本当のことだけど。




「よろしくねー」



九条周くんがにこやかに挨拶してくれる。


同じ姓に似ている顔…



「双子?」




どうやら彼らは双子らしい。
そして奏汰の友達。


クラスに双子っていたっけ…。




ていうか。

「なんで俺を探したの?」


「いっひょにお昼食へようほ思っへ」



奏汰は口に何か入ってるらしく、きちんと話せていない。


まぁでもだいたいは分かった。



なんで一緒に食べようと思ったのか気になったが、それ以上は聞かずに俺も弁当を食べることにした。









「あ」


双子の弟、流くんが声をあげた。



「ん?」


流くんの先には俺の箸。

箸にはたまご焼き。



「欲しい?」



こくりと頷く流くん。


大人っぽいだけど子供なところもあるんだなぁ。
当たり前だと思うけど。



流くんは満足そうに弁当の中からあとひとつあったたまご焼きを取り、口に含んだ。


たまに人の家のたまご焼き食べたがる人っているよね。