俺はクラスメイトも覚えてないのか。
しかも委員長を。
もう少しまわりも見よう。
「ちなみに副委員長は空木君ね!」
「へぇ…ってえ?」
俺が副委員長なんて聞いてないし、知らない。
誰が決めたんだ。
津久野君は俺が考えていることがわかったのか
「僕が決めちゃった!」
なんて言う。
「決めちゃった!じゃねぇよ。そんな顔したって可愛くないからな!」
津久野君のむかつくぐらいの笑顔に、一発軽いパンチをお見舞いしてやった。
痛っ、なんて言ってるけど無視しよう。
なんで勝手に決めてんだ。
なんで俺なんだ。
俺はため息をつく。
あぁ、幸せが逃げたなぁ、なんて。
「ていうか空木君。今授業中だよ。さぼり?」
「お前もな」
どや顔だった津久野君の表情に焦りが見える。
いかにもやられた!みたいな顔。
…コイツアホだな。
能天気でアホで勘違い野郎。
それが津久野君の第一印象。
その後、津久野君の希望により、お互い名前で呼び合うことになり、その授業は最後まで屋上でさぼった。
こんなに人と話したのは久しぶりだった。
