授業が終わり、掃除の時間になると
自分の担当区域のうさぎ小屋へと向かった。


 そこには既に上級生が整列しており、
「夏帆ちゃんは、うさぎを捕まえて
籠に移してね」と命じられる。


 早速小屋に入り、
こうして実際にうさぎを目の当たりにすると、
結構と怖いではないか!
うさぎと云う可愛い名前とは裏腹に、
ブーブーと鼻を鳴らし
今にも噛み付かんとばかりに威嚇してくる
凶暴なヤカラもいる。

 その親玉だろうか、
中には夏帆の身長の半分もあろうかと云う様な
大きな おでぶうさぎも居て、
うさぎ初体験の夏帆はどうしていいか分からない。

 小屋の中央に立ち尽くしたままで
暫く先輩の行動を観察していると、
 何となく要領をつかんだ様な気がしてきた。

 夏帆は、おとなしそうな
小さめのうさぎを小屋の隅に追い詰めると、
 両手で背中とお腹をそうっと優しく包み込む。


「あったか~い」


 初体験は、とても気持ちが良かった。


 そのまま抱き上げると、うさぎの横腹に
顔をうずめ頬ずりする。


 ふっくらとした毛の感触と
地肌の温かさが、どうにも心地いい。


 上級生の中には、耳をつかみ、
お尻に手を添えて籠に移している人もいるが、
実にもったいない。