私の父も津波の音を聞くや否や裏山に駆け上り、
無事ではあったのだけれど、
 母を失った父にとっての私の存在は、
『負担』以外の何ものでもなかった。

 時々、酔っては母を殴る。

 そんな父が私も嫌いだったし、
これから先の二人きりでの生活を考えると、
すごく、いやで怖かった。

 結局私は、漁師しか出来ない父と離れ、
札幌に住む母方の叔母の家に
住む事になったの。

 ただ、叔母夫婦にも子供があり、
市営住宅での生活が
決して裕福な環境とは言えない事は、
子供の私の目にも明らかだった。

 だから、優しくされれば、される程、
肩身の狭さを感じたわ。

『 早く、大人になりたい!。』と

 いつも、そう思って暮らしていた。