店の奥にいたらしきマスターも駆け寄ってきてわたしの腕を支えてくれた。


この時期のせいか時間帯のせいか、他にお客さんはいないようだった。


店の中は暖炉があってとても暖かかった。


だけどわたしは海水と外気の寒さにあてられて未だに震えが止まらなかった。


「さっ、暖炉の近くへ」


マスターが暖炉の近くの椅子に座らせてくれた。


髪が顔にべったりと張り付いて気持ち悪い。


それでも冷えきった手のひらと足を必死で温めた。


唯、と呼ばれた子も私がさっきまで寄りかかっていた左側をより温めていた。


が、しばらくすると、「その人の荷物置いてきたんで取ってきます。あと家からバスタオルも」と言って、とっとと出て行ってしまった。