最初はナンダコイツ、だった。

東海林一志とやらの外見といったら。


まずすぐ目に入る茶髪のワックス盛り。
のちにそれはカフェブラウンと
判明しちゃうわけです。

それから後姿の制服からは派手な柄の
パーカーのフードが露になってる。

腰履きだってしていたし。


怖じ気づいてないといえば
嘘になっちゃうけど…ガン飛ばしてたし。

でもどこか抜けた口調が憎めなくて。


こうやって振り返ってるあたしが密かにいた。


何か期待しちゃってるのかなあ。
そんなはずないんだけどな?


「藤田!おっまえどこ行ってたんだぁ?
口にメロンパンの欠片つけてんじゃねーぞー」


思い切ってドアを開けてみたら
とたんに先生の怒声が脳に響いた。

得意技の微笑で誤魔化しながらそそくさと着席。
隣の人にジロリと睨まれたような。


運が良いのか悪いのか、
授業はあたしの好きな先生だったらしい。


…ってなんだって?
そんなこととは知らず、疾走してましたとさ。