「ダメだこりゃ」みんな諦めて見ていた紙に再び目を移す。

俺は演奏よりも演奏を見ている佳乃という女の子がたまらなく気になっていた。
前に少し体を持っていき彼女の顔をのぞきこむように彼女を見た。

「あ……」もうその時点で俺は彼女に釘付けだった。今までに見たことのない輝かしい笑顔で演奏を見ていた。

その姿がなんとも言いがたいくらいに可愛くて。女の子にドキドキなんてしたことなんてないのに胸がドキドキしているのが自分でも分かった。

演奏が終わって彼女は突然立ち上がって大きな拍手をした。

「ちょ、佳乃恥ずかしいって」他の子たちが周りを見ながら佳乃という女の子を座らせようとする。

スカートを引っ張られてようやく気付いたのか床に座り込んだ。

「私、絶対この高校入る!ほんであの舞台でクラリネット弾く!!」友達に輝いた目で話す彼女。

「はいはい、分かった分かった」みんなは適当に返事していたけど聞いていた俺は心の底から頑張れと思った。

そしてその瞬間から俺の志望校はここに決まった。

クラリネットを弾いている彼女が見たいそう思ったんだ___