「だって植本、いつもあっこで暗くなるまで練習してるもんな」私がいつも練習場として使っている廊下を指す。

「なんで…」
何で私の名字知ってるの?それだけで嬉しいのに彼はいつも私が練習している場所まで知っていた。

「何でって何が?」私の気持ちを知らない三吉くん。

「私の名前……」
「名前?名前がどうしたん?」

「何で……知ってるん?」嬉しくて声が震えてくる。

「ハハハハっ知ってるって。名前くらい。あっ、俺行かな」私の返事を聞かないで三吉くんは職員室に入っていってしまった。

嬉しすぎて少しの間そこから離れられなかった。