「…隣にいた女の子への怒りなんて湧いてこなかった。
凄く、可愛くて、私なんかじゃ到底叶わないような子だったから」
「恵…」
「怒り、なんてものじゃない。
悲しさだった、祥の隣は私の場所じゃなかったのかな……」
「そんなことないよ!!
祥の隣は、恵のものだよ!」
「もう、分からないや。
体育祭の時も、祥の隣にいたのは私じゃなくて、あの子だった」
「そんな…」
「後夜祭でフォークダンス、踊ったでしょう??
あの時、祥は踊らないであの子と一緒にいたのをみたの」
「……」
「えへへ…、
それでね、キスもしてたんだよ??
笑えるよね」
「恵っ…、笑え…ないよっ…!」
なんとか笑おうとしているのだろう。
しかし、やっぱり笑えない。
当たり前だよ。
付き合ってる恋人がいて、その恋人が他の女の子と手を繋いだりキスしてるのをみて
笑えるわけがない。

