そうして、びしょ濡れになりながらも何とか婆さんは桃を拾い上げ。

爺さんの待つ家へと帰ってきた。


「お、重……っ」

「りゅーたろー!何だそれ!」

「桃だ……見りゃわかんだろ…」

「そんなでっかい桃は見たことない」

「……そりゃそうだ。つか、そこ退け。下ろす」


どすんっ


おい、お前そんな乱暴に落としたら……。


「ふんっ。これぐらいが丁度いいだろーよ」


俺は知らねーかんな!

……って、爺さんは何で匂い嗅いでんだよ。


「なぁなぁなぁ。これ食べれるのか?」

「知らね」

「ふーん……」


ザシュッ


「ちょ、葉也おまっ!」


斬った!何の躊躇いもなく斬った!

真っ二つ!!


「おい…これあの侍も斬れてんじゃ……」

「ししょー?」

「……って、オイ。誰も入ってねぇじゃねぇか」


あ?んな訳ねぇよ。



「(あ、夕城。お前何でまだここに居るんだ)」

「(…文句でもあるのか)」

「(そりゃありますよ。貴方の出番は既に始まっています)」

「(…何の出番だ)」

「(桃太郎だよっ!全く…手間掛けさせないで欲しいんスけど)」

「(………む)」


『む』じゃねぇえぇええ!!

何でまだそこ(舞台裏)!?

桃に入ってろよッ!改名する気かッ!!


「……」


何か喋って!?