「げっ」


そんなとき、原和田が叫んだ。


「原和田うるさい」


「大変だ野村!」


ヤスの言葉を無視して、原和田は俺の肩を掴んだ。


思ったより力が強く、俺の体は強張る。


同時に、原和田の顔も強張った。


「紗菜ちゃんが…」


そこまで聞いて、俺の体はもっと強張る。


すると、原和田がフッと笑った。


「冗ー談だよ。紗菜ちゃん、今日一人で寂しいってさ」


………へ。


原和田はまたフッと鼻で笑う。


「…行けよ。行きたいときは行けばいい」


原和田がドヤ顔で言う。


「…いや、別に行きたくないけど」


俺は冷めた目で原和田を見つめた。


「俺が行かせたいんだ。行けーっ!」


原和田に押され、俺はゆっくりと足を踏み出した。