それから二時間が経った。


イベントは終了。


ケーキを売り切ることは出来ず、6個余った。


「……どうすんのこれ」


原和田が呟く。


「私たちが買うわよ」


坂下さんが言う。


「えぇー…」


俺が嫌な顔をすると、坂下さんはニヤッとした。


「野村、二個買って」


「は?なんで」


「ここには5人しかいないの。でも余ってるのは6個なの。誰かが2個持ち帰るしかないの」


いや、それは分かってるけど…。


「なんで俺?」


「一番働いてないから」


確かに。その通りだ。


「一人暮らしだから食べる人いないんですけど」


「一人で頑張れ」


坂下さんはやっぱり鬼だなぁ、と思った瞬間。


結局、俺が二個持ち帰ることになった。