そして、これといった準備もなく、一週間が過ぎた。
「クリスマスケーキはいりませんかー?」
「………」
「どうぞ試食も召し上がって下さい」
「……」
「ちょ、野村。仕事してよね」
「………はあ」
ため息をつきたいよ、俺は。
なんでサンタさんの格好しなきゃいけないのさ。
別に俺はサンタさんじゃないよ。
ただの一般人だよ。
「野村着ろよー。楽しいよー?」
あ、そっすか…。
隣にいる原和田は、ノリノリでトナカイになっていた。
「そうだぞ野村ー。俺よりは良いじゃないか」
そう言うヤスを見て原和田が笑った。
無理もない、ヤスの役はクリスマスツリーなのだ。


