紗菜は、また俺に抱きつく。 顔を真っ赤にしながら。 「恵介、好きだよ」 「……うん」 紗菜は顔をあげ、満面の笑みを見せた。 身長25cm差。 首、痛いだろうに。 それでも彼女は首をあげる。 俺に笑顔を見せるために。 俺はそっと頭を撫でる。 そうすれば彼女はもっと嬉しそうに笑う。 頬を赤らめて。 今こうしていられるのもあいつのおかげ。 あいつの言葉があったからこそだ。 原和田、ありがとう。 側にいてくれて、ありがとう――。