原和田の家に着いたときには、もう紗菜はいなかった。 「紗菜に野村のこと聞かれた。教えたら、飛び出してどっか言ったよ」 あいつ、どこ言ったんだよ…! 俺は走る。 足なんて、もうとっくに動かない。 それでも走らなければならないんだ。 俺はもう一度紗菜の家に向かう。 ここからだと電車使わなきゃいけない。 電車で少し休んで、また走ろう。 そうすればまた走れる。