坂下さんはニッと笑って 「言葉が足りない」 と言った。 それ、わざわざ立っていうことだろうか。 「考えてる」 坂下さんは、また隣に座る。 「野村、またなんか考えてるでしょ」 「………」 「言葉にしなきゃ~」 この人が喋りすぎなんじゃないのか。 「ほら、喋れー!」 「……」 簡単に言わないでくれ。 喋るのは好きじゃないんだ。 女だって、苦手なんだから。 思ったことを、うまく伝えられないし。 あ、だから考えるだけになっちゃうのか。