亜清の家まで着いた時には、既に息を切らしていた。

第一、走る程の距離でもない。
それでも息を切らしているという事は、相当な運動不足だという事だろう。


肩で息をしながら、インターホンを鳴らそうとすると、




「おまえ全然運動してねえだろ」



上の亜清の部屋の窓から、顔だけ覗かせて呆れたようにそう言った。


「ちょっと待っとけ、すぐ行くから」



言い返す間もなく、そう言い残すと、窓もカーテンも閉めてしまった。

私は未だうるさく弾く心臓を押さえ付けるように、胸に手を当てながら深呼吸をして、亜清が来るのを待つ。





「悪りい、待たせた」



自分が息切れしている事さえ忘れてしまった。
思わず、幼なじみの亜清に見惚れていた。