そこで暮らすにはいくつかの規則を守る必要があった。

そのうちの1つに『川の向こうにある森に子ども達だけで入ることを禁止する』というものがある。


昔から幽霊が出ると言われている上に、猛獣の住処としても知られている森に自ら望んで近づく者はいなかった。

それ故この規則は、多くの者に本当の意味で知られていなかった。


薄暗い森は確かに昼間でも危険で、迷い込めば出て来れる可能性は0に等しいだろう。



だが、この規則がある本当の意味は他にある。

何も知らない子どもを森の最奥に近付かせないため。


そこに眠る者を目覚めさせないため。






それでも月日の流れは、永い眠りからの目覚めを予感させていた。