「______……り…っ!?」


「______…か…り!?」


「_____…り…っ海陸っ!?」


頭の上で誰かの声が聞こえた。
ゆっくりと瞼を開けると…


「あっ!?海陸っ!!よかったぁ…んとに、心配させんなよ…」


ハァッと深いため息をついて心配そうに私の顔を覗く佐之助くんの姿があった。

ってか、近いっ!!

私は佐之助くんの胸を押して顔を遠ざける。


「また裏海陸かぁ?もう、勘弁。」


本当に疲れたような顔をして辺りを見回す。


「なに?その…“裏”って…」


私がそう聞くと、佐之助くんは呆然として驚く。


「おまっ!?…覚えてないのかよっ!?
…なんか、松原さんみたいだな…」


最後の言葉は私には聞こえなかったが、私の知らない人には聞こえたみたいで佐之助くんの後ろで私に『しーっ』と自分の口元に人差し指をつけて合図する。


「てゆーかよぉ、俺以外の奴に気軽に触らせるなよ…本気でムカついた。」


そんなことも知らずに、ムスッと頬を膨らませて怒る佐之助を見て、我慢出来なくなったのか後ろから抱きつく人の髪色は茶色っぽく、優しそうな顔で服もゆったりとした浴衣姿の男の人だった。


「うわぁぁああっ!?」