「――…ごめんなさい」



娘は泣いていた。

蒼白い手のひらで蒼髭公の顔を撫でながら、娘はまるで公の代わりのように涙を流した。



「ごめんなさい」


蒼髭公の力が次第に衰えて、殺すのではなく、娘を求めるように這いつくばった。


離してあげて、と請う妹に、二人の兄は顔を見合わせてゆっくり蒼髭公から離れた。