だけど、悩んでいる私よりも先に


「久しぶりだね」


と、優しく微笑む誠司。


「お久しぶりです」


先にそう言われてしまったら、初対面のフリは出来ない。

私は表情を変えず、事務的な口調でお辞儀をする。


「へぇー!佐伯さんと園田さん、知り合いだったんだ!」


挨拶をする私達を見ていた社長は、普通に知り合いである事に驚いていた。


そりゃそうか。

誠司が転勤してから、社長はこの会社に入社したのだから。


……ん?

ちょっと待って。

誠司は転勤前、“営業課”だった。

っていう事は……


「佐伯さん!お久しぶりです!」


私の後ろから、すごく嬉しそうな声が聞こえる。

振り向かなくてもわかる。

この声の主は……


「おう!倉木、久しぶりだな。あれ?ここに居るって事は、お前、今……」

「社長の秘書をさせて頂いています」


私の隣で、再会を喜んでいる誠司と英治。


そりゃ、知っているよね……

だって、英治は入社してから秘書課に来るまでの間、誠司と同じ“営業課”だったのだから。


っていうか、この二人、仲良さそうじゃない?

誠司、余計な事言わないよね?

大丈夫だよね?


私は、誠司と英治を見ながら、ヒヤヒヤしていた。