「あっ、パスタもういいんじゃない?」

「えっ?あっ、うん」


パスタの事だったのか……


勘違いしてしまった事に少し落ち込みながら、パスタを湯切りし、フライパンへ。

そして、ソースを絡める。

ソースを絡めている私のその隣で、英治はお皿を出しながら


「だから、俺、知里に家事全部、押し付ける気ないし」


そんな事を、さらっと言う。


「えっ?」


さっきの言葉はパスタじゃなかったの?


固まる私の手からフライパンを取り、英治はお皿に盛る。


「そりゃ、こんなに早く帰れない限り、仕事の日は作るのは無理かもしれないけど、休みの日くらいは、こうやって一緒に作ってもいいんじゃい?」


お皿に盛り付け、フライパンをシンクに置く。

そして、固まったまま、英治をじっと見つめている私をそっと抱きしめ


「二人で会話しながら作る方が楽しいだろ?それに、結婚生活にはコミュニケーション必要だと思うけど?」


英治は私のおでこに自分のおでこをくっつける。

あまりの近さに、私はドキドキする。

こんな風に抱きしめられたり、笑顔を見せられると、やっぱりまだドキドキするんだ。