私達は手を繋ぎ、いろんなお店を見て回っていると……

なんか、すごく視線を感じる。

私が見られているわけではないのは、わかっている。

このアウトレットモールに来ている女のお客さん、ほとんどの人がと言っていいほど、みんな倉木を見ている。

そりゃぁ、会社でも人気だし、告白もよくされているけど……

たくさんの女の人が倉木を見て、赤くなったり、「カッコイイ」と言っているのを聞くと、私はすごく嫌な気持ちになる。


それに、わかってはいた事だけど、つくづく実感した。

倉木がモテる事を。

今まで、ご飯を食べに行ったりしても、そこまで“見られている”という事はなかった。

だけど、初めてのデート。

こんなに周りの女の人が振り返るなんて、思わなかったよ……

私は繋いでいた手を離し、倉木の腕に自分の腕をぎゅっと絡ませる。


「ん?どうした?」


倉木は私の顔を覗き込みながら聞く。


「ううん、何でもないよ」


私は出来るだけ笑顔を作り、返事をする。

別に、倉木の気持ちを疑っているわけでもない。

私の事を大切に想ってくれているのも、倉木のいつもの態度から、ちゃんとわかる。

わかっているんだけどさ……

すごく思うんだ。


“倉木を独り占めしたくなる”


って……


今も、変わらず倉木は告白されている。

倉木はちゃんと「彼女がいる」と言ってくれているらしいのだけど。

それでも、よく告白される倉木に私は不安になる。

他の女性に気持ちがいったらどうしよう、って……