「何でって……」


俺の腕の中から、園田の声が。

そして、ドンッと胸を押され


「さっき、私の言葉、聞こえていたんでしょ?なら、何で優しくするのよ!何で……、彼女がいるのに、私を抱きしめるのよっ!!」


俺から離れ、園田は絨毯の上に座り、泣きながら言う。


今、さっきの言葉を認めてくれたのは嬉しいけど……

園田は何を言っているんだ?


ますます俺の頭は混乱する。


だって、俺には彼女なんていない。

俺の好きな人は、目の前にいる園田なのだから。


とりあえず……

園田は何か勘違いをしている、って事だよな?


「なぁ、園田……。“彼女”って?」


俺は優しく尋ねてみる。


「さっき、喫煙ルームで……」


俺の質問に、園田は俯きながら答える。


「喫煙ルーム?」


さっき……?


「……あぁ、あの子ね」


そういう事か……


園田の勘違いが何なのか解った俺は、自然と笑いが込み上げてくる。