「ってか、園田だってモテるだろ」


倉木はじっと私を見る。


「そ……そんな事ないし!」


急に見つめられ、鼓動が跳ね上がる。

きっと、顔も赤くなっているに違いない。

倉木にヘンに思われないように、私はパッと視線を逸らし、秘書室に戻る為に歩き出す。

そして、倉木も私と並び歩き出す。


「はぁ……」


隣で、倉木はため息を吐く。

そんな倉木の態度に、


私、今、あからさまに視線を逸らしたの、態度悪かったかな?

だから、倉木、ため息……?


私は不安になり、持っていた書類を胸元でぎゅっと抱きしめ俯く。


「……、まぁ、どうせ、俺の場合は外見だけだろ?」


私は俯き、足元を見ながら歩いているから、倉木がどんな表情で話しているかはわからないけど。

何もなかったかのように、普通に話し掛けてくれた事にホッとする。

前に聞いた事があるが、倉木は昔から外見だけで告白される事が多かったらしい。

でも……


「違うんじゃない?だって、倉木、優しいじゃん。だからじゃないの?」


私は顔を上げ、倉木を見る。


「仕事だから、当たり障りのないようにしているだけだよ。無愛想にするわけにもいかないだろ?」


倉木はまっすぐ前を見ながら、そう言う。


「まぁ、そうだけどさ……」


普段、一定の距離を保ち、そして、あまり笑顔を見せる事のない分、優しくされたり、たまに笑顔を見せられたりすると、みんなドキッとするのだと思う。

私が倉木の事を気になりだしたきっかけもそうだったから――…