俺が、じっと園田を見ていると


「……うそ。ちょっと……、ううん、すごく怖かった」


そう言うと、園田の目から、涙が溢れ出す。

その瞬間、俺は無意識に園田を抱きしめていた。


「く……らき?」

「泣けよ。我慢するな」


園田の頭を撫でながら、そう言うと


「ありがとう」


俺の腕の中で、園田は泣いた――…





この時からかな?


園田を守りたい


園田の事をもっと知りたい


そう思ったのは――…





社長が倒れて数ヶ月が経った頃。

社長は今後の事を考えて、営業課に配属し、営業課長をしていた真人を副社長にして社長の仕事を覚えさせた。

俺が営業に居た時に真人は入社した。

そして、俺は真人の教育係をしていた。

というか、後々、真人はこの会社を背負って立つ事は決まっていたから、他の新入社員よりも厳しくハイスピードで仕事を教えた。

その時も思っていたけど、真人は覚えが早い。

それに、仕事も出来る。

だから、いきなり副社長になって仕事をさせられても、きっちりこなしていた。

真人も真人で、今後の事を考え、自分より年上の役員達に自分の事を認めさせるように、結構無理をしてでも仕事をしていた。