「 ―――― あ
ごめんなさい! 忘れ物! 」
靴に、足を差し入れかけていたアズが
急にハッとした表情を浮かべて
再び、部屋の奥へと駆け込んだ
しばらくパタパタ動いていたけど
「 リュウジ 持ってない? 」
そう言いながら
ヒョコリと奥から顔を出して
髪の先を残し、またすぐに隠れた
青山は
不思議そうな顔をしながらも
玄関先から、踵を返す
「 んじゃ青山 ボウズ!
オレら先に、下行ってんぞ
クルマこっちに回しとくからよ 」
「 了解 」
青山と言葉を交わすと
真木は早々に靴を履き
ナカマさんも、いそいそとその後へ
俺もすぐに、それに続こうとしたけど
――――― あ
何となく探ったポケットに
携帯、その他が無い
着替えてしまったから当たり前で
全部、上着に入ってるんだ
振り返ると、もう二人の影はなく
バタンと、大きな音をたてたドアを見送る
うっかりしたな、と思いつつ
脱衣所、風呂場へと続く廊下に入り
脱いだ上着を、捜しに戻る事にした


