―――… やっぱり無理だわ 俺は一歩、足を踏み出した でもその時 ――――― カチャリと静かに、ノブが回る音と 軋みながら、開くドア それを押す、臙脂色の指輪が見える その扉の隙間から 差し込んで来るのは 春の朝の、柔らかい光 ――――