アドリアナの居る
部屋の前に立った
「 ――― アドリアナ 」
声を掛けると
一瞬 泣き声が止まる
―――… 次の声を掛けて来て欲しいと
待っている気配が判った
きっとこれで
俺が抱きしめたり、優しい言葉をかけたら
あっという間にアドリアナは
俺を好きになるだろう
―――……" 縋り付ける者 "として
そんな女の子の弱い部分を
世の中の
遊んでると言われたりする男たちは
多分 結構、知ってる
でも ごめんな アドリアナ
俺、アズといた時間
お前の事、全然
思い出さなかったんだ ―――
余裕のない、こんな奴だから
アズに何かあったら
それがどんなに小さな事でも
もう思考は、そっちに飛んでしまうだろう
でもさ
もしアドリアナが
本当に真木を好きなら
同じ事だと思うんだ
――― だから、なんかさ
違うだろ?


