投げ付けられたのは 丸められた、真木のコート ――― 「 岡田、時間ヤバイから 先に降りて、車頼むな んじゃよ 青山、池上 そろそろオレらは行くわ 人、待たせてあるからよ あ、梅川さん 何かあったら、すぐ教えて下さい ――― あのバカ、 よろしくお願いします 」 「 うん わかった 岡田くん、真木ちゃん お疲れ様ね ―――― おやすみなさい 」 「 おやすみなさい 」 俺は 真木が開いたドアから、廊下に飛び出して 曇り硝子の窓の隙間から 頭だけを下げ、また 走った