少しづつ歩いているうち
景色がだんだんと明るくなって行く
高いビルの看板
否応なしに、
視界と耳に飛び込んで来る、光と騒音
信号機
ガツガツと交差点を渡り
溢れる靴先
携帯のランプ
それに伴い
―――― アズは"擬態"を始めた
サングラスをかけ、髪を纏め
全てキャップの中に入れると
パーカーをその上から被り
ジップを、喉元の一番上まで
白い交差点を行き交うのは
判を押した様にオシャレな髪型
いつか雑誌で見たファッション
若い奴ら
しかもプライド高く
顎をいつも少し、上にあげて
そんな波に混じる様に
流行りのパーカー、サングラスのアズも
ポケットに腕を入れ
ツカツカと駅へ向かって歩いて行く
へんに肩をすぼめ
地味な恰好をしている方が
この街では逆に、目立ってしまう
表参道と書かれた看板
地下に降りる形の改札
アズは立ち止まり、俺の方を振り向いた
「 ――― 淳、ありがと
もう ここでいいよ 」
「 え… 」


