砂場のロケット 〜キミと見る群青〜




あの海辺のラストを皮切りに
俺は何度か彼女に会い、その度にキスした


渋谷センター街
クリスマスでの、ホテルの一室


だけど ―――

オトコは一人しか知らない癖に
いつも必ずやり返されてた


マンハッタンまで会いに行った

そこの城みたいな、ホテルの一室でも

ふざけ合い …耳元で名前を呼び、
一瞬、甘い声を上げた直後にも




いや
…あの声ですら、"反撃"だな

すぐにあいつは起き上がって
普通に会話をしてた




あいつはいつでも、何処か冷めてた


まだ出会う前
俺が電話で口説いていた時も




… そりゃそうだよな
携帯の向こうから
女と言い争う声が聞こえてりゃ…

こっちが何を言おうと
それが彼女の、たったひとつの『リアル』


… 実際、
"今は関係ない"と言ってみた所で
俺は過去、その女とやってた訳だし…




女とHする事に、意味なんかなかった


タバコを吸う、
酒を飲むのと変わらない ――


周りの男も女も
そんな感覚持った奴の集まり
それが自分達の『日常』


――― なのに


俺は随分長い間
彼女にそれを話す事が出来なかった ――