『知らない…。貴方なんか…知らない!誰なの!?』

「…」


知 ら な い。
彼の心に宿る何か。


『知らない!知らない!!知らない!!!貴方は何なの!?』

「…リオ…?」


何故だ?リオ。
僕は君をこんなにも愛しているのに。何故だ?


震える彼の声。
強く叫ぶ彼女の声。


『私の名前を呼ばないで!私をここから出して!!』

 彼女は、自分の恋人の記憶のみを、頭から消したのだった。

『…自由にしてっ…お願い』