「………やっと」

やっと着いた。

肩で息を吐いたり吸ったりと、何度も。


大分落ち着いてきた。


「……神社?」

本で見たことがあったから覚えている。


その神社は月明かりに照らされていた。

とてもぼろくて、誰も住んでいなかった。相当古い場所っぽい。

「……こんな場所あるんだ。看護士さんたち何も言ってなかったのに」

聞いたのは近くに森があることそれ以外は聞いたことない。

いや、聞いても意味ない。外の世界など知らなくていいのだから。言ってもわからないと知ってるから言わないのかな。

「……」

誰もいない。寂しい。

「ネガティブだな」

情けないなぁ。


気晴らしに神社の辺りを散歩した。

何をしてもこの心の傷は癒えないのに。



馬鹿だな、私。