親父のくれた、1戸建ての家に俺たちは住んでいる。



俺たち…。


柚菜と俺と、柚菜のお腹の中の赤ちゃん。



お腹に耳をつけると、生きているって。


俺たちの子供だって、実感する。




新しい命の、うれしさ。





「行ってきます」


「行ってらっしゃい。社長さん」





それから、お腹の中の俺らの子供に。



「お父さん、がんばってくるからな」



背をかがめて、語りかけた。





「そうよねー。あたしたちのために、がんばってもらわなきゃ」