10月某日
私は都内の会議室にいた。

「だから君ね、もう29歳なんだから・・・」
上司の小言が始まった。
私の上司、嫌三(イヤミ)は、私にどうやら
寿で退職して欲しいらしい。

でも私に彼氏がいて
しかも100歩譲っていたとしても
結婚で仕事を辞めるなんて考えられなかった。

「負け犬の遠吠え・・・」嫌三がそう放った一言で
私の心の中の何かが切れた。

「そういうならいいですよ!
年内で寿退社してみせます!」
次の瞬間そう言い残し
私は会議室を去った。