甘い罠

瑠璃とサキは、黙って碧の背中を見送った

サキは、出鼻をくじかれたような、困った顔をしている


「なにあれ?
てかさ、なんかもっとないわけ?

大体碧が告白したらってけしかけたようなもんじゃん」

もっと盛り上がるはずだったこの話題を急に中断され、サキは面白くない様子だった

「てかさ、ひょっとしたら碧も密かに先輩が好きだったとかじゃないよね?

だからショック受けたとか?」

サキはどうしても話し足りないらしい。
眉間に皺を寄せ、大袈裟に驚いたような目を瑠璃に向けた

そんなことはないとサキも分かっているはずだと瑠璃は思ったが、とりあえず調子を合わせることにした

「まさかぁ

だって一番応援してたの碧だし…
ねぇ?」 

瑠璃はそう言って、サキと同じように大袈裟に考えてるような表情をしてみせた